香港を経由して初めて深センに向かわれる方は、罗湖LuoHu、あるいは福田Futianと呼ばれるイミグレを使うことが多いと思います。
これらのイミグレはMTR(鉄道)で向かうことができ、日本人の方のブログを見てもこの方法で行かれる方が多いです。王道の行き方でもあるので、安心感があるのでしょう。
安心感があるイミグレである一方で、これらのイミグレは常に混雑しておりタイムロスが生じるのと、鉄道の終電時間に合わせて運用終了をしてしまうというデメリットがあります。つまり夜中にはやっていないんですね。
深センに慣れてくると皇岗(ファンガン)と呼ばれるイミグレを使う機会がでてくると思います。こちらのイミグレは唯一24時間開いているのが特徴です。
仕事の都合でどうしても夜の時間帯に移動する必要があったり、早朝出発のLCCに乗るために香港へ移動される方はこちらのイミグレを使われることが多いでしょう。
このイミグレは香港側では鉄道が乗り入れていません。そのためタクシーやスカイリモと呼ばれる相乗りバン、直通バスを使って深センに向かう場合において、このイミグレにお世話になるはず。
ファンガンは、中国側のイミグレと香港側のイミグレが離れており、初めての利用だと正直分かりにくく戸惑ってしまう方が多いのが特徴です。
この記事では、唯一24時間開いている皇岗口岸(ファンガン)の全てをご紹介します。これを読めば、ファンガンを使うメリット、移動手段に応じたファンガンでの動き方をマスターすることができます。戸惑うこともなくなると思います。
皇岗口岸とは?
まずファンガンについて、その特徴や周辺の地理についてご紹介します。
皇岗口岸(Huáng gàng kǒu àn、通称ファンガン)は、深センと香港を結ぶ入国審査場の中では唯一24時間運用されています。
ファンガンは、深センど真ん中の福田区というエリアに位置しています。よく日本のメディアで取り上げられるテンセントの本社などは南山区。そこはファンガンから離れています。南山区の中心地からファンガンまで、タクシーだと高速道路経由で20分、バスで1時間ぐらいかかります。
香港MTRで落馬洲駅まで向かい深センへ渡ることができる福田口岸もファンガンに隣接しています。
この地図の通り、ファンガンというのはイミグレが中国と香港で分かれています。ここの移動は黄色いバス(黄巴士)などつかって移動します。ややこしいのはこの部分ですが、この移動については後ほど詳しく解説します。
ファンガンを使うメリット
ちょっとなんだか複雑そうなイミグレではありますが、それでもファンガンを使うメリットは色々あります。ざっくり以下のとおり。
- 24時間利用することができる
- 直行バス(後述します)があり、香港各地に移動するにしても移動がめちゃ楽
- スカイリモがあり、香港空港へ直接移動できて便利
- バスを乗り継いでいけば比較的安く、香港空港→深センの移動が可能
こんな感じでしょうか。
しかし前述のとおり、ファンガンは福田区に位置しているので南山区に向かう方や福田区以外から香港に向かう場合にはファンガンが適切でない場合があります。
なので、イミグレを超える時間帯と現在自分のいる深センの場所(あるいは深センの最終目的地)に応じて、イミグレは使い分けたほうがよいです。
香港→深セン の場合
香港から深センへ向かう場合には、
- 直行バスで向かう
- タクシーで向かう
- スカイリモで空港から直接向かう
- 公共バス(A43Pなど)で向かう
の4種類が挙げられます。最後の公共バスを使って移動する場合にのみ若干やっかいですが、香港→深センの移動は比較的複雑ではありません。

どの方法を使っても最終的には、中国側のイミグレ(写真上)の入り口が最終目的地になります。
直行バスで向かう
「直行バス」とは、香港の各地域から出ているファンガンへ直接向かうバスのことです。
例えば、旺角から出ている「旺角跨境全日通」や香港島の湾仔から出ている「湾仔跨境全日通」などがあります。あとは深センより更に先の広東省の地域に向かう高速バスもこれにあたります。
このバスは半券が2つ付いていまして、一つは「出発地→香港側のイミグレ」で、もう一つは「香港側のイミグレ→中国側のイミグレ」です。

このバスでファンガンへ向かうとまず香港のイミグレの前で降ろされます。

バスを降りて、イミグレを抜けた後にバスが待機しているので、その時に残りの半券で中国側に向いましょう。

私は体験したことがありませんが、香港のイミグレでトラブってしまった場合は待機していたバスは既に出発してしまっている場合があります。その時はバス停にいる人にゴネるか、10HKDで中国側のイミグレに行ける「皇巴士」に乗って向かいましょう。
タクシーで向かう
タクシーで向かう場合は、香港側のイミグレの入り口まで向かってくれます。「ファンガン」といえば通じるはず。

空港からファンガンまでの価格はおよそ300〜400HKDぐらいかと思います。香港に着くのが夜0時過ぎの深夜だったり、3人以上で行動する場合であればタクシーがおすすめです。

イミグレを抜けた後、直行バスと違いタクシーが待っているわけではないので、皇巴士という黄色いバスに乗って中国側のイミグレの入り口まで移動します。

スカイリモで空港から直接向かう
香港空港から150HKDでファンガンへ行ける相乗りバン、スカイリモ(Skylimo)というのがあります。
このバンは香港のナンバーと中国のナンバーを持つ通称ダブルナンバーなので、直接中国側のイミグレに向かうことができる移動手段なのが特徴です。

バンは香港側のイミグレで高速の料金所のようなところを通過します。この通過する時に運転手が相乗りしている人のパスポートを回収し、料金所のような建物の中にいる入国審査官に渡します。パスポートがチェックされた後、パスポートが戻されます。そして中国のイミグレの入り口まで運ばれ降ろされます。

わざわざ香港側のイミグレで下車して通過する必要がないので、これの方法が一番ラクだったりします。
公共バス(A43Pなど)で向かう
なるべく安く香港から深センへ向かうとなると、公共のバスを利用するケースがあります。いわゆる香港名物の2階建てバスです。
香港空港から向かう場合は、A43Pという上水行きのバスに乗って「新田公共運輸交匯處」と呼ばれるバス停で下車します。

そこから皇巴士という黄色いバスに2回乗って中国側のイミグレへと向かいます。

このルートは、増山智明さんという方のブログ記事が非常にわかりやすいので、こちらをぜひご一読ください。
▶ 香港空港から中国・深センまで安く早く行く方法を考える | 増山智明 Official Blog
深セン→香港 の場合
つづいて、非常にややこしいのが深センから香港へ移動する場合です。
初めて利用する人にとっては困惑してしまうこと間違いなしなのですが、先ほどの香港→深センの4パターンの移動方法に合わせると以下のようになります。
- スカイリモで空港に直接向かう→【中国側のイミグレを通る前にチケットを買う】
- 直行バスで向かう→【中国側のイミグレを通った後にチケットを買う】
- 公共バスで香港に市内に向かう→【二回皇巴士に乗って、新田公共運輸交匯處で公共バスに乗り換える】
- タクシーで向かう→【二回皇巴士に乗って、新田公共運輸交匯處でタクシーを捕まえる】
これだけだと何をいってるんだお前?となりそうなので、それぞれ写真と共に解説していきます。
スカイリモで香港空港に直接向かう

深セン→香港でスカイリモを利用する時は、「出国ビルに入る前にチケットを買う」ということを忘れずに。
出国ビルの手前にはスカイリモのチケットを販売する業者のカウンターがいくつかあります。価格は100RMB〜150RMBです。WeChatPayはもちろんOKですし、現金も大丈夫なはず。


チケットを買うと、その旅行会社で買ったことを示すシールを渡されるので、服の目立つところに貼ります。

出国ビルを通過するとシールを見たスタッフが、スカイリモのバンまで案内してくれます。

※出国ビルを過ぎたところでもチケットを販売しているブースがあるようですが、ファンガンは時間帯によってはツアー集団で大混雑しているので事前に買っておいたほうがベター
直行バスで向かう
直行バスに乗って香港の各地域へ向かう場合には「出国ビルを超えたら右へ進む」ということを覚えておきましょう。右手に進むとバスのチケット売り場があります。

特に土日のファンガンは香港へ向かう中国のツアー客でごった返しているので、混乱しないためにも「とにかく右」ということを覚えておいたほうがいいです。

右へ進むと、直行バスのカウンターが各地域ごとにズラリと並んでいるので自分の行きたい場所のエリアのカウンターに並びます。

各地域の値段(2018年12月29日時点)の価格は以下の通り
目的地 | 昼間 | 夜間 |
湾仔(ワンチャイ) | 現金52HKD オクトパス50HKD | 57HKD |
錦上路 | 現金22HKD オクトパス20HKD | 6:30~20時まで運行 |
旺角(モンコック) | 41HKD | 現金45HKD オクトパス42HKD |
ディズニーランド | 片道80RMB、往復150RMB | 8:30~12時の時間帯だけ運行 |
東桶 | 80RMB | 8:30~21:30の時間帯だけ運行 |
観塘 | 現金47HKD オクトパス44HKD | 現金52HKD オクトパス49HKD |
尖沙咀 / 油麻地 | 現金40HKD オクトパス37HKD | 現金45HKD オクトパス42HKD |
荃湾 | 現金42HKD、 オクトパス39HKD | 現金44HKD オクトパス42HKD |
チケットを購入しバスが来たら乗車しますが、まずは香港側のイミグレまで移動します。

イミグレを抜けると、先ほど乗車したバスが停まっているので再度乗車します。
香港→深センと異なり、中国人の香港入国には時間がかかるので置いていかれるというアクシデントは無いと思いますが、なるべく素早い行動をおすすめします。
公共バスで香港に市内に向かう/タクシーで向かう
公共バスやタクシーを使う場合は「中国側の出国ビルを抜けたら左へ移動」ということを覚えておきましょう。

これらの手段で香港へ向かう場合は
中国側のイミグレ→(皇巴士)→香港側のイミグレ→(皇巴士)→ 新田公共運輸交匯處
という順番で、2回皇巴士という黄色いバスを乗り継いで移動します。
ファンガンは人で混雑していることが多い上に、ちょっと複雑な移動なので戸惑ってしまうこともあるかと思いますが、以下の写真で紹介する手順を参考にしてみてください。
中国側のイミグレを抜けて左へ移動すると、こんな感じの香港側のイミグレに移動するバスの入り口が見えてきます。

休日だと団体客が多く長い列があるのですが、ここでその団体列に並んではいけません!個人客用のレーンが右側にあるので、そこから移動してください。

個人客用のレーンを進むと、10HKDを払うカウンターがあるのでオクトパスカードをかざすか、現金を渡して進んでください。

団体客とは別のスッカスカのレーンを進むと黄色いバスが到着しているので乗り込みます。この時に団体客と同じバスになるので、団体客の勢いに負けないように頑張って乗ってください。

この黄色いバスはまず初めに、中国側のイミグレ→香港側のイミグレへと移動します。
香港側のイミグレを抜けたら、また黄色いバスに乗りにいきましょう。


このバス乗り場なのですが、非常に長いです。黄色いバスは一体どこなんだ…?と思っちゃうんですが、一番奥まで移動してください。

一番奥へ移動すると「香港側のイミグレ→新田公共運輸交匯處」の区間を移動する皇巴士が見えてきます。この時に運賃を支払う必要はありません。

そしてようやく「新田公共運輸交匯處」に到着です。ここからバスに乗って上水などに移動するか、タクシーを拾って移動しましょう。
まとめ
ファンガンは24時間運用されているので非常に便利なイミグレではありますが、特に深セン→香港を移動する時には、中国と香港のイミグレが離れていることもあり複雑で初心者には分かりづらい部分が正直あります。
特に週末は中国の団体客でごった返すので、その状況とバッティングしてしまうと疲弊してしまうかもしれません。その対策としてもこの記事を活用していただければと思います。
ただこの方法に一度慣れると、スカイリモや直通バスを上手く活用できるので香港と深セン間の移動が楽になることは100%保証します。
ぜひお時間がある時にお試しください!
コメント
[…] 参考深センの24時間イミグレ 皇岗口岸(ファンガン)攻略法 […]